人気漫画「10DANCE」を原作に実写映画化した本作。
その期待度は極めて高く、配信前から国内外で大きな注目を集めてきました。
配信開始の初週にして、Netflix週刊グローバルTOP10(非英語映画)で4位にランクインする快挙を達成。
競技ダンス漫画の先駆け作品として高い評価を受け、瞬く間に人気を博し 唯一無二の作品として支持を得てきた原作。
映画「宝島」に続き、大友監督が 原作の繊細さを残しつつ、ダイナミックに映像化。
株式会社Spade&Co.様がVFX(視覚効果)を製作する映画『10DANCE』にて、
クライマックスになったダンスシーン
アジアカップファイナル会場の3次元スキャン・点群データ取得を
神戸清光が担当させていただきました。
本記事では、その計測時の様子、
そして、点群を利用した箇所の 実際の本編データを記していきます。
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NETFLIX映画『10DANCE』
株式会社Spade&Co.(スペードアンドカンパニー)様は映画を中心にドラマやCM・PVなどのハイエンドなVFX(視覚効果)製作を提供されている企業。
主な作品には、邦画最高クラスの壮大なスケール感を実現した「キングダム」シリーズ、「ゴールデンカムイ」シリーズ。
また、興行収入が200億円を突破し邦画実写1位へ輝き、第98回(2026年)アカデミー賞でメイクアップ&スタイリング賞へノミネートしている映画「国宝」
など、日本を代表する作品が並んでいます。
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アジアカップファイナル会場
におけるセットの計測は、セットエクステンション(既存のセットに追加して、存在しない部分をCGで追加をすること)に使用されています。
2~4階席の座席にCGの観客を配置するため、座席の位置の割り出しの為にスキャンデータを使用されたそうです。
アジアカップファイナル会場の2~4階席です。
2025年1月13日 静岡グランシップ 大ホール・海
ここからは、実際の計測データの一部を掲載していきます。
まずは、3Dレーザースキャナー「NavVis VLX3」。
映像作品のデータ計測にレギュラー入りをしているVLX3。
点群取得速度は、最大1,280,000点/秒と圧倒的な性能。
歩行しながらの高速スキャンにより、広範囲の3Dデータを短時間で取得可能です。
レーザーレンジ(照射距離)により、ビルの外壁や高所など、遠くのデータまで高密度に再現できます
「NavVis VLX3」を装着して実際にデータを計測する弊社営業。
①VLX3で取得した点群データ。
まずは全体の様子。中央にダンスホールがあり、それを囲うようにテーブルがセットされています。
②VLX3で取得した点群データ。
2~4階席の座席を割り出すには十分な点群量です。
③VLX3で取得した点群データ。
多数のシャンデリアがあります。
④VLX3で取得した点群データ。
天井側から見下ろした様子です。テーブルや椅子、座席もハッキリ区別でき、さすがのクオリティです。
NavVis VLX3
点群数:583,167,031
(5億8千万点)
続いて使用したのは、ハンディ3Dレーザースキャナー「XGRIDS LixelL2Pro」。
本体重量1.7kgと軽量ながら、最大300mの測定範囲、毎秒最大64万点の高速点群取得のスペックです。
ハンディレーザースキャナーとは思えない驚きの点群精度と密度を取得できる代物。
3D Gaussian Splatting(ガウシアンスプラッティング)も生成できる高精細で、弊社でもイチオシの製品です。
煌びやかなセットにも馴染むスタイリッシュなL2Pro。
①L2Proで作成した3DGS(Gaussian Splatting)。
ステージから全体を映した様子。キャプチャ画像だとまるで写真のようですが、立体的でリアルな3D空間です。
①L2Proで取得した点群データ。
ステージ上のPOPや椅子までも形がハッキリと分かります。
②L2Proで作成した3DGS(Gaussian Splatting)。
2階席です。
②L2Proで取得した点群データ。
椅子はもちろん、手すりまで綺麗にデータが取得できています。
③L2Proで作成した3DGS(Gaussian Splatting)。
上部から全体を映した様子です。
③L2Proで取得した点群データ。
1階席のテーブルやダンスホールも綺麗に確認できます。
④L2Proで作成した3DGS(Gaussian Splatting)。
⑤L2Proで作成した3DGS(Gaussian Splatting)。
Lixel L2Pro 1階
点群数:208,354,093 (2億点)
トータルステーション
任意座標点:4点
Lixel L2Pro 2階
点群数:249,562,383 (2億5千万点)
トータルステーション
任意座標点:4点
Lixel L2Pro 3階
点群数:265,259,291 (2億6千万点)
トータルステーション
任意座標点:6点
Lixel L2Pro 4階
点群数:333,945,189 (3億3千万点)
トータルステーション
任意座標点:4点
上記の点群データを活用し、株式会社Spade&Co.様が作成された本編内の作業前/後の比較画像を掲載します。
中央右の1階フロアと2階席を次の画像と見比べてみてください。
中央右の1階フロアと2階席に観客が違和感なく追加されているのが分かります。
上の2階席と3階席を次の画像と見比べてみてください。
2階席と3階席に観客が追加されているのが分かります。
こちらも次の画像と見比べてみてください。
こちらも2階席と3階席に違和感なく観客が追加されているのが分かります。
Netflix映画『10DANCE』では、社交ダンスの会場を舞台としたシーンにおいて、客席の観客をCGで追加する作業がVFXの重要な役割の一つでした。
実際の撮影ではすべての席を観客で埋めることが難しく、CGによって自然に観客を補完する必要がありましたが、その際には客席の正確な位置関係や構造を把握することが不可欠になります。
今回ご提供いただいたスキャンデータは、広大な会場を隅々まで精密に記録しており、カメラマッチムーブの精度向上や観客CGのレイアウト作業において重要な基盤となりました。
その結果、CG観客を実写空間に違和感なく溶け込ませることができ、リアリティのある映像表現を実現することができました。
精度の高いスキャンデータは、本作のVFX制作を支える重要な要素となっています。
今回の計測では、映像作品のデータ取得に初めてL2Proを使用しました。
当初では聞き馴染みのなかった3DGaussian Splattingの技術が、計測から1年が経過した今では関連セミナーが一番盛況するような状況に。
XGRIDS社からPortalCamという最新機種の販売も開始され、”3次元”はアップデートされ続けています。
これからも様々な分野に活躍を広げていくであろう技術で、やはり生活には無くてはなりません。
弊社では、最新の機材をメーカー視点ではなく、ユーザー様視点で機材を見出し、検証を行い、最適なご提案をしております。
より良いものを追い求め常に情報を入手すること、それをユーザー様へお届けすることを使命と考え、これからも活動してまいります。
気になる製品やデモのご依頼など、是非とも弊社までお問い合わせください!
株式会社神戸清光 映像事業部 濱田・山元
記事監修:株式会社神戸清光 代表取締役社長 走出高充
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