土地家屋調査士業を1つの提案営業として捉える。
(株)グランドデザインオフィス様が可能性を感じたDJI「Zenmuse P1/L1」。

神戸清光が広島県の(株)グランドデザインオフィス様にDJI「Zenmuse P1/L1」「Matrice 300 RTK」の納品を行った。
本記事ではその様子をみなさまにお伝えする。

(株)グランドデザインオフィス様(広島県)より山本代表取締役と吉澤氏にご参加いただき、神戸清光のドローン練習場(兵庫県小野市)にて製品説明を実施した。

製品説明の様子。フライト経験豊富な担当者が説明を行う。

▲製品説明の様子。フライト経験豊富な担当者が説明を行う。

「士業の中で、最新機器が必要なのは土地家屋調査士だけじゃないですかね。」

―そう話すのは、(株)グランドデザインオフィス代表取締役の山本氏だ。

様々な士業があるが、住民票などの請求権が認められている士業は「8士業」と分類されるという。
弁護士や行政書士・税理士などが当てはまるのだが、土地家屋調査士も同じくその分類に該当する。
その士業と呼ばれる中で最新機器を必要とするのはなるほど、土地家屋調査士だけかもしれない。

同社の山本氏と吉澤氏には2日間に渡って製品説明に時間を割いていただいたが、彼らの様々な面が垣間見えた。
土地家屋調査士として・製品使用者としてのアングルで製品を見つめる一面もあれば、「この製品がどのように顧客への提案に使えるか」という営業担当者のような一面も感じられる。

(株)グランドデザインオフィス代表取締役 山本氏(写真中央)。

▲(株)グランドデザインオフィス代表取締役 山本氏(写真中央)。

L1とP1。

さて、今回(株)グランドデザインオフィス様が導入を決めてくださった「Zenmuse P1/L1」「Matrice 300 RTK」の特長も簡単に見ておこう。

「Zenmuse P1」は写真測量用カメラである。4500万画素という高画素カメラが搭載されており、その高画素のデータを点群化できる。
「Zenmuse L1」はLiDARだ。本製品では簡単に点群データの取得が可能となる仕様だ。
山本氏の「すごいの買ったね。」という一言が印象的であった。

何といっても両製品の更なる特長の1つがそのコストパフォーマンスの良さだ。従来、ドローンによるレーザー測量には操縦者の技術やコストへの比重が非常に大きく、導入が難しい場合があった。しかしながら、本製品の登場により約1/3程度のコストでの導入が可能となる。(本記事掲載当時)

話題の製品だけあり、インターネット上には様々な情報が掲載されている。
だが、「一見は百聞に如かず」ではないが、実機を見るからこそ気付くことも多くあるだろう。
特にL1の「フライトから解析までの円滑さ」を是非体感いただきたいと私たち神戸清光は考えている。

(株)グランドデザインオフィス様ではDJI「Phantom 4 RTK」を活用した業務を既に行っている。
当日は初めて「Matrice 300 RTK」の飛行練習を行っていただいたが、機体やカメラの安定感・飛行時間の長さをご実感いただいた様子であった。
「慣れるまでには、もう少し時間が掛かりそう」と話すのは吉澤氏であったが、その飛行技術は高い。同社のハイレベルさが伺える。

L1飛行中のプロポ。リアルタイムで点群が表示される。

▲L1飛行中のプロポ。リアルタイムで点群が表示される。

L1を取り付ける吉澤氏。丁寧に製品を扱う姿勢が印象的だ。

▲L1を取り付ける吉澤氏。丁寧に製品を扱う姿勢が印象的だ。

土地家屋調査士業務にもi-Constructionの考え方が必要。

建設業界ではi-Constructionへの取り組みや考え方が普及し始めた。
i-Constructionの目的の1つに「1人1人の作業の効率化」がある。
その効率化のために重要なポイントとなるのが、ベテランと若手の技術力の差を縮めることだ。
山本氏は土地家屋調査士業務にも同様の考え方を当てはめる必要があるのでは、と考える。

本記事取材当時の山本氏は36歳。土地家屋調査士としては、非常に若い。
しかしながら業界経験は15年・調査士歴9年と、これまで様々な現場と対峙してきた。

ベテラン土地家屋調査士の技術を若手へ継承することの重要性についても山本氏は言及している。
建設業界が抱えている問題と類似する部分があるのだろう。
この課題の解決については、将来的なビジネスモデルにも組みこんでいく予定があるという。
広島県の土地家屋調査士が課題解決の先駆けとなるかもしれない。

プロポを確認する山本氏(中央)と吉澤氏(左)。

▲プロポを確認する山本氏(中央)と吉澤氏(左)。

―「従来は従来のやり方で、今は今のやり方を。そこに強制はないですよ。」

山本氏がレーザー測量に出会ったのは、ライカ「BLK360」が発売されて間もない頃だ。
繁華街のビルとビルが密集した人が入れない場所での分筆業務を依頼されたことがきっかけだという。
その場所の地価は非常に高価であり、特にシビアな測量が求められる。
その現場でレーザー測量が使えるのではないか、と山本氏は考えたのだ。

そして、ライカジオシステムズ(株)LHI事業推進部の大八木氏からの紹介で「BLK360」を知ったという山本氏。
同氏から私たち神戸清光へのファーストコンタクトは「BLK360、もう売り切れていますか?」だった。
この山本氏からのアプローチは中々インパクトがあったようである。

―そんなエネルギッシュな山本氏だが、3次元データへの取り組みは押し付けるものではないと考える。
それぞれが異なる環境・価値観・地域性を抱えており、やりたいことも違うからだ。
「今までのやり方で業務を行ってきたら、それはそれで続ければいい。」
前進し続ける山本氏から非常に柔軟な言葉を聞くことが出来た。そして、同時に少し意外でもあった。

―同氏の取り組みを見ていると、「早くみなさんもやるべきです。」という言葉が発せられる気がしたからだ。
芯はあるが柔らかい、それが山本氏の魅力だ。

山本氏が目指すのは個の土地家屋調査士としての業務存続だけでなく、1つの企業として社会的に存続させていくこと。
「常に現役の人を置いておきたい」とも考えており、そのためのビジネスモデルの構想を練っている。

社会の歯車として、土地家屋調査士の役割を探究し続ける(株)グランドデザインオフィス様の今後の動きにも注目だ。
業界のロールモデルとなる日も近いだろう。

「Matrice300 RTK」に「Zenmuse P1」を装着した。

▲「Matrice 300 RTK」に「Zenmuse P1」を装着した。

―「潤う時期があり、そして衰退する時期がある。
その時に残るのが、『人との付き合い』だと思うんです。」

本記事の筆者は新技術の導入の背景には大きく2つのパターンがあると考えている。
問題が発生して新技術を導入しなければならない「問題解決型」と、競合他社との差異を出すため、所謂ブランディング的な役割を果たす「発展型」だ。

もちろん、これら2つのパターンは表裏一体の面もあるのだが、(株)グランドデザインオフィス様は圧倒的に後者の「発展型」だと感じる。すぐに「無理です。」とは言わず、顧客の要望を叶えるために動き、その顧客の要望を実現したときに視野が広がる。その繰り返しで、同社はさらに前進しているようだった。

顧客からの要望を「ややこしい」と感じずに、自社の技術力向上の糧にしていく。簡単そうで中々難しい、それをやってのけているのだ。

「モノを売る/サービスを売るということは、潤う時期があれば必ず衰退する時期がある。
その衰退の時に残るのが『人との付き合い』」だと山本氏は話す。
話し手によっては、この言葉が理想や美談のように聞こえるかもしれないが、同氏の言葉を聞くと「本当にそうなんだな」と思うことができるのだ。衰退する時期まで含めて会社の動きを考える。なかなかハッとさせられる考えであった。

家電量販店で働いた時に提案営業の面白みを知ったという山本氏。
知らないと重みのある言葉は発せられないと考え、神戸清光担当者へ自身の抱える現場を想定した質問を投げる。
山本氏も吉澤氏もただ測量業務を効率化させるためだけでなく、1つの提案営業用のツールとしてこの機器を導入しているのだ。

インタラクティブな時間が過ぎていった。

Matrice 300 RTKは安定感のある飛行も魅力の1つだ。

▲Matrice 300 RTKは安定感のある飛行も魅力の1つだ。

―製品を「活用」していただくための道筋を。

私たちとユーザーの関係は「納品したら終わり」ではない。
納品後、実際に使用していただき始める時こそ重要だと神戸清光営業担当者は考えている。

今回はDJI「Zenmuse P1/L1」「Matrice 300 RTK」の製品説明を実施したが、実フライトやデータ解析についての説明は最初から始まらず、後半に行われる。機体の説明や扱いの要点など、実フライト・データ解析以外の説明に前半の時間が費やされるのだ。ユーザーに安全なフライトをしていただくことが非常に重要であり、安全なフライトはユーザーを守るだけでなく、機体をも守る。バッテリーの脱着やブレードの収め方、ジンバルへの機器装着方法などといった非常に細かい動作にも神戸清光の蓄積するノウハウが光った。

導入していただいた製品をより有効に、そしてより長く使っていただくために。
是非私たち神戸清光と一緒に進んでいただきたい。

Matrice 300 RTKのキャリブレーションを実践する山本氏。 とにかくエネルギッシュな印象の人柄だ。

▲Matrice 300 RTKのキャリブレーションを実践する山本氏。
とにかくエネルギッシュな印象の人柄だ。

本取材を通して、土地家屋調査士のイメージがまたさらに変わった。
私たち神戸清光はみなさんに新しい技術をお見せすることが役割だと自負しているが、
改めてユーザーが様々な環境や地域に身を置き、それぞれの事情を抱えていることを再認識しなければならない。

何事も「『従来』と『最新』」のバランスが大切だとは思うが、
(株)グランドデザインオフィス様はそのどちらも否定することなく、とにかく柔らかく対応している印象だった。

古い建築物が壊され、新しい建築物が建てられる。国の政策で今までになかった工事が始まる。
様々な条件が絡んで、街の景色は日々変化する。その景色の変化の始まりにはいつも測量があることを感じる。 

(株)神戸清光 広報担当 松本葵

株式会社グランドデザインオフィス 様

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