——「きっと将来、ICT施工が普通になる。それなら、早く始めた方がいい。」
株式会社 京滋建設様へ神戸清光がトプコン「杭ナビショベル」を納品。

2021年12月14日(火)に株式会社 京滋建設様へ神戸清光がトプコン「杭ナビショベル」の納品を行った。
本記事では、その様子と共に同社がICT施工に取り組む背景にどんな思いがあるのかをお伝えする。

——ICT施工の目的は「みんなが楽になるように。」

滋賀県野洲市にある株式会社京滋建設様は、土木工事をメインに担う企業だ。
ICT施工にも約4年前から取り組んでおり、3次元設計データ作成までをも行う。

——ICT施工の統括を行うのは、同社取締役の浦谷氏。
「より少ない人数での円滑な施工を実現し、みんなが楽になるように」という思いの元、ICT施工の推進を図っているという。i-Construction関連製品導入までには、企業価値の創出や工事の受注など様々な背景や側面があるが、同氏は「みんなが楽になるように」ということを一貫して言葉にする。そこに確固たる目的があるということが強く感じることが出来た。
また、国がi-Constructionにおいて目標とする「生産性向上」「魅力ある建設現場づくり」という点に明確に共鳴していることも感じられる。

株式会社京滋建設 浦谷取締役。ICT施工の統括を行う。

▲株式会社京滋建設 浦谷取締役。ICT施工の統括を行う。

――「吐古納新」の精神で新技術の導入を受け入れる。

株式会社 京滋建設様の礎は今から60年前の1961年に築かれ、創業者たちの「釘1本も無駄にしない」という精神を根底に様々な技術が継承されてきた。同社が現在掲げる企業理念には「吐古納新(とこのうしん)」という言葉があり、どのように技術が継承されてきたかを垣間見ることができる。「吐古」は古いものを吐き出すこと。「納新」は新しいものを入れることを表す。

今回、同社が導入を決めたトプコン「杭ナビショベル」はGNSSではなく、トータルステーションの原理を使用して運用するマシンガイダンスである。コンマ1の小型機にも取り付け可能であるため、都市部での活用も期待されている。また、GNSSでは苦手とされる山間部などの現場でも受信状況に左右されることなく使用可能であることも大きな特長だ。

業界において、i-Construction製品の導入に全員一致の前向きな姿勢を生み出すことは簡単ではない。
特に熟練した技術を持つベテランからの理解を得ることが難しいこともあるだろう。
今本当に導入が必要か否か、ということが見えにくいのがi-Construction関連製品かもしれない。

同社でも最初はみんなが賛成したわけではなかったというが、保守的な考えを吐き出し、新技術への抵抗をなくしてきたという。浦谷氏の一貫した「みんなが楽になるように」という目的、さらにICT施工による企業価値の創出への意識がそれを実現したのだろう。

トプコン「杭ナビショベル」の取り付け過程。 キャビン上に設置されたプリズムを「杭ナビ(LN-150)」で自動追尾する。

▲トプコン「杭ナビショベル」の取り付け過程。
キャビン上に設置されたプリズムを「杭ナビ(LN-150)」で自動追尾する。

何を以て、i-Construction製品導入の成果が出たといえるのか?

i-Construction製品導入の成果は何を指標に測ることが出来るだろうか。
売り上げや工事の受注件数の動きだけでその成果は見えるのだろうか。
——浦谷氏は、それだけでは測れない成果があると考える。

株式会社 京滋建設様は、ライカ社製レーザースキャナ「RTC360」も導入し、3次元図面データ作成にも邁進している。3次元設計データの作成は外注されることが多く、そのデータ作成を自分たちで行う同社は非常に活力的な印象だ。

浦谷氏は、自社内でデータ作成・施工を行うことが企業価値を高め、そして蓄積されたノウハウが会社の資産になると見据えている。そしてそれらが、i-Construction製品導入の成果の1つになると熟思しているのだ。また、同氏が繰り返し言葉にしていた「みんなが楽になればいい」という思いの実現も成果となるだろう。社員たちがより少ない負担で円滑な施工を行えたときにもまた、ICT施工への取り組みが実を結ぶ。

——新技術の導入にはメリットが必要だ。売り上げや受注件数の数字が上昇すれば、それが成果として分かりやすい。しかし、見えにくい成果があることも忘れてはならない。それは導入後すぐに現れないかもしれないが、数年後に企業価値や技術力として残すことが出来るだろう。

神戸清光の担当者。取り付けの確認を行う。

▲神戸清光の担当者。取り付けの確認を行う。

取り付け中も浦谷氏からは多様な質問が投げかけられる。

▲取り付け中も浦谷氏からは多様な質問が投げかけられる。

——「きっと将来、ICT施工が普通になる。それなら、早く始めた方がいい。」

2016年より国土交通省が本格化させたi-Constructionへの取り組みは現在も推進されている。
引き続き注力される同政策は、将来的にICT施工の普及率をほぼ100%にするのではないかと浦谷氏は見込んでおり、ICT施工に関して「やらない理由がない」と考える。

同社が3次元設計データ作成にも取り組んでいることは前述の通りだが、ICT施工は1社完結で行おうとすると様々なノウハウが必要となる。いずれ普及するのであれば、他社よりも先に取り組むことでそのノウハウで差を付けることができるだろう。

株式会社 京滋建設様は、バックホウだけでなくブルドーザーやローラーでもICT施工を可能にするストーリーを描いているという。神戸清光の担当者も「大切なことはゴールを設定すること。そして、そのゴールに沿うようにメーカー・製品を選んでいくことだ。」と話す。

伝統と革新が共存していることが同社の魅力だ。

▲伝統と革新が共存していることが同社の魅力だ。

「目的」を実現するために導入する新技術。

神戸清光の営業担当者たちは「ユーザーがどこに向かいたいのか」ということを踏まえ、製品や活用の提案を行う。この最終目的に沿うように導入する製品やメーカーを選定していくことが重要だ。

株式会社京滋建設様の浦谷氏からはとにかく、「ICT施工を推進したい」という思いが感じられた。
その目的は一貫して業務効率向上や社員への負担軽減であり、また自社価値を高めるためでもある。

暫定的な製品使用ではなく、同社は本当の意味でのICT施工の"活用"に繋げていくのだろう。
5年後・10年後には更なるノウハウが形成され、企業価値を深めていくことが予想される。

同社を通して、「普及する前に始めること」が他社との差別化をクリエイトするために重要なのだと見直すことができた。 

(株)神戸清光 広報担当 松本葵

株式会社 京滋建設 様

【所在地】〒520-2413 滋賀県野洲市吉地1335-1
【電話番号】077-589-3547
【HP】https://www.keiji-inc.com/