有限会社ミナミ様が「Leica iCON office」を導入!
――三角網(TIN)でなく、線形「ポリライン」で作る滑らかなデータ。
線形で舗装工事3Dデータを作成するという選択肢。

2022年8月9日(火)に有限会社ミナミ様へ現場用設計データ作成ソフトウェア「Leica iCON office」を神戸清光が納品した。本記事では、その様子をみなさまにお伝えする。

有限会社ミナミ様は愛知県稲沢市に所在する舗装業務を行う企業だ。
「アスファルトフィニッシャーをMC(マシンコントロール)で動かす」ということを最終目的として、
地上型レーザースキャナ「BLK360」,「RTC360」の導入を行っている。

――今回は、さらなる3次元データ活用のために設計データ作成ソフトウェア「Leica iCON office」の導入を決めたという。
「Leica iCON office」においてポリラインで作成した滑らかな設計データを建設向け測量ソフトウェア「Leica iCON site」に読み込み施工を行うというフローに取り組む。
同社は、ハード面での3次元活用だけでなく、3次元データ作成にも取り組み、ICT施工の一元化を実現する。 企業の価値をぐっと磨き上げるのだ。

有限会社ミナミの服部氏(右)とライカジオシステムズの藤田氏(左)。

▲有限会社ミナミの服部氏(右)とライカジオシステムズの藤田氏(左)。

「ポリライン」とは?

まずは、「ポリライン」という概念を改めて確認してみよう。 ポリラインは、連続する線形で構築していくデータだ。 日本国内では、三角網(TIN)で3次元データを作成することが大きく普及しているが、 このポリラインを使用してデータ作成することで生まれるメリットもある。

【「ポリライン」を使用するメリット】
・カーブなどの曲線が表現しやすく、結合部も滑らかであること。
・シンプルな結線のため、データ容量を軽減出来る。

【「ポリライン」を使用するデメリット】
・国交省が定めたTSによる出来形管理基準のデータとしては使用できないこと。

海外サイトでは比較的情報が見つけやすいポリラインでのデータ作成だが、日本国内では対応している製品がまだまだ多くないため、これから更なる普及が見込まれる。 まずは、同概念の認識を私たちが深めることで現場に適したデータ作成が広がっていくこととなるだろう。

「ポリライン」で作成したデータの一部。 無駄な結線がない印象だ。

▲「ポリライン」で作成したデータの一部。
無駄な結線がない印象だ。

TINで構築したデータの例。

▲TINで構築したデータの例。

舗装業務は「ポリライン」が大きく活用出来る。

この「ポリライン」だが、舗装業務を行う技術者たちでは普及が進んでいるようだ。
舗装工事において、再現が重要となる要素の1つが“勾配”である。

――道路では中心線から左右両方の勾配が異なっており、TINでデータ作成を行うと「ひねり」が生まれてしまうことがある。 また、そのひねりを解消するべく細かな三角網を更に張ることでデータ容量も大きくなってしまうのだという。 その細かな三角網を張っても、勾配の異なる現場やカーブなどの曲線をしっかり再現することは難しい。有限会社ミナミ様では、それを解消するべくポリラインでデータを作成することを決めた。

同社の服部氏は、ポリラインを「水糸と同じ表現が出来る」と評す。 1.5%~2%という繊細な勾配もしっかりとデータ上で再現することが出来ると考えているという。

筆者も「3次元データ作成にはだいたいTINデータを使うのだろう」という認識であったが、 シンプルな線分でデータを作ることが出来るのだということを知ることが出来た。

服部氏の掲げるビジョンは「アスファルトフィニッシャーをマシンコントロールで動かす」ということ。

▲服部氏の掲げるビジョンは「アスファルトフィニッシャーをマシンコントロールで動かす」ということ。

理解が進まない筆者に、模型を使いながらTINとポリラインの違いを説明してくださった。

▲理解が進まない筆者に、模型を使いながらTINとポリラインの違いを説明してくださった。

連動性の高い建設向け測量ソリューション「Leica iCON シリーズ」

「Leica iCON office」でポリラインを使って作成した設計データを建設向け測量ソリューション「Leica iCON シリーズ」でマシンガイダンス/マシンコントロールを使用する。
ライカジオシステムズ株式会社藤田氏から、細かな解説が行われた。

また同製品は、ライカ社の様々な測量機とも連携が可能だ。

「Leica iCON」と連携可能な製品群。

▲「Leica iCON」と連携可能な製品群。

▲PCで「Leica iCON site」ソフトのシミュレーターを動かす。

▲PCで「Leica iCON site」ソフトのシミュレーターを動かす。

「Leica iCON site」ソフトの画面。 シミュレーターでデータ確認が可能だ。

▲「Leica iCON site」ソフトの画面。
シミュレーターでデータ確認が可能だ。

国内でポリライン対応製品が増えれば、現場に合わせて「TIN」か「ポリライン」か選べるかもしれない。

海外では普及が進んでいるポリライン(Polyline)。 日本国内ではライカ社の製品群がメインでそれに対応している。 国産メーカーもポリラインデータに対応し始めれば、更なる普及が期待されそうだ。

ライカジオシステムズ株式会社の藤田氏は、このポリラインが適す現場のキーワードとして、
「土工」「繋ぎ目」「道路」「高さ」についての表現に秀でていると話す。高速道路など、複数の道路が交差する現場の設計がイメージしやすいだろうか。

また今後、出来高管理もポリラインで出来ればと話す有限会社ミナミの服部氏。
ハードの活用だけでなく、データへのこだわり・再現性の追求を行う同氏の姿勢が強く感じられる。

「Leica iCON office」の画面①。 線分でデータを作成していく。

▲「Leica iCON office」の画面①。
線分でデータを作成していく。

「Leica iCON office」の画面②。 座標データを読み込む。

▲「Leica iCON office」の画面②。
座標データを読み込む。

「Leica iCON office」の画面③。 曲線も滑らかに線分で表現が出来る。

▲「Leica iCON office」の画面③。
曲線も滑らかに線分で表現が出来る。

「ポリライン」を使った設計データ作成についての可能性を話し合う姿が、この日のハイライトだ。

▲「ポリライン」を使った設計データ作成についての可能性を話し合う姿が、この日のハイライトだ。

3次元データ作成の方法も選択する未来がくるかもしれない。

このポリラインの概念が、もっと多くの人に伝わればメーカーが提案する製品も変化するだろう。
それが、日本の測量業界にまた新たな「定番」を生み出すのかもしれない、と抽象的ではあるが漠然と感じる。
本取材では、ICT施工の中にも様々な業種・それに適した製品/技術が枝分かれしていることを知ることが出来た。

有限会社ミナミ様の「最適解を追求する」という姿勢は、ハードにもソフトウェアにも向けられる。
3次元データ作成からICT施工という環を実現しようとしている同社。
次回は「Leica ScanStation P50」を導入する様子をみなさまにお伝えしたい。

――神戸清光の営業担当者はユーザーのビジョン・ゴールから、それにマッチする製品を提案する。
是非、お問い合わせいただきたい。

 

(株)神戸清光 広報チーム

有限会社ミナミ 様

【所在地】〒492-8410 愛知県稲沢市北島4-63
【電話番号】0587-21-4361
【HP】https://minami-ltd.com/
【YouTube】https://www.youtube.com/channel/UCKAtNYPdxsLffKNa9u_wCUg