【神戸清光 実証実験】

ドローンと地上型レーザースキャナ。全7機種で同じ現場を計測したら?
データを徹底比較!

2021年5月26日(水)・28日(金)・7月1日(木)の3日間で「同じ現場をドローン・3Dレーザースキャナで測量を行う」という比較実験を神戸清光が行った。

使用機種は以下の通りだ。
①「Matrice 300 RTK/Zenmuse P1_35mmレンズ」(DJI)
②「Phantom4 RTK」(DJI)
③「Matrice300 RTK/Zenmuse L1」(DJI)
④「BLK360」(ライカ)
⑤「RTC360」(ライカ)
⑥「GTL-1003」(トプコン)
⑦「GLS-2000」(トプコン)

本記事では、その結果をお伝えする。

測定現場について

本実証実験は大阪府にある能勢高原ドローンフィールドにて実施された。
それぞれの測量班に分かれ、事前に決められた範囲を計測し、その違いを検証する。
現場については下図を参照いただきたい。野山・建築物・グラウンド(運動場)と様々な要素が含まれることが特徴だ。 

能勢高原ドローンフィールド

計測時間・作業人数・同日数で測定できた器械点数

使用機種ごとの計測時間や器械点数は以下の通りである。

計測時間・作業人数・同日数で測定できた器械点数

機種別の特徴

撮影データを踏まえた各機種の特徴も見てみよう。
他機種もそれぞれ得意・不得意があり、「現場に合わせる」ことが活用へ繋がる。
1人当たりの作業労力もチェックしておきたいポイントだ。外業と内業のバランスが良いと円滑に業務も進むだろう。
機種単体ごとに、地表面の抽出したデータを本記事後半では紹介しているが、ドローン×地上型レーザースキャナを組み合わせるとさらに高品質なデータが取得できることが予想できる。

機種別の特徴

ここからは、撮影現場をそれぞれの機種で点群で示した場合の全体図と考察を見ていこう。
各機種によって計測できた範囲が異なるため、目印として赤いピンは現場のグラウンド(運動場)部分を示す。

①DJI  Matrice 300 RTK/Zenmuse P1  35mm

①DJI Matrice300RTK/Zenmuse P1_35mm

「Matrice 300 RTK」に「Zenmuse P1」を搭載して撮影を行った。
P1の特徴は、撮影した航空写真を点群データ化することだ。
地上型レーザースキャナの作業時間を圧倒的に凌駕していることはドローン全般に言えることだが、その短い撮影時間であってもP1のデータは美しさを保つ。
本現場で撮影した写真は4500万画素で1415枚。
Phantom4 RTKに比べると画素数/撮影枚数は約2.5倍。
点群作成に時間が掛かるが、それは解像度が高いデータを処理しているためだ。現場での実測は短時間で済むことが特徴である。

後述のBLK360・RTC360に比べるとドローン操作の技術という点において専門性が必要ではあるが、
それさえあれば、しっかりとデータを取得できるだろう。
しかし、写真から点群を生成するため木の下など地表面の点群化はどうしても難しくなってしまうのが現状だ。

②DJI  Phantom4  RTK

②DJI Phantom4 RTK

こちらも前述の「Zenmuse P1」と同じく写真を点群化する技術が適応された製品だ。
ドローンの特長の「短時間で広範囲の撮影」は十分に感じられる。
本現場では2000万画素で520枚の撮影を行った。

P1でも述べた通り、ドローン操作という点での技術は必要だ。
また、やはり「写真から点群を生成する」ということに伴う地表面の点群化の難しさがある。

質の高い成果品を創出するためには、地上型レーザースキャナを組み合わせることが前提となるだろう。

③DJI  Matrice 300 RTK/Zenmuse  L1

③DJI Matrice300RTK/Zenmuse L1

「Zenmuse L1」は前述の写真から点群データを生成する「P1」「Phantom 4 RTK」とは違い、点群データをリアルタイムで創り出す。
そのため、「P1」「Phantom4 RTK」では苦手だった地表面の点群化も可能だ。

本製品の大きな強みの1つが「リアルタイムで点群表示ができる」ということ。
ドローンも地上型レーザースキャナも「計測した点群データは事務所で確認するもの」というイメージはまだ強い。
機器についている小型の液晶や、タブレットで器械点の確認や合成を行えるアプリもあるが、いずれも非常に簡易的な点群の見え方である。
「Zenmuse L1」では、色鮮やかな点群データがリアルタイムにプロポに表示される。また計測後の解析では、合成した状態で計測データが吐き出されることによって解析時間が大幅に短縮できるのだ。

従来、ドローン搭載型のLidar技術を用いて計測を行うためには担当者に高い技術力や専門性が必要だった。また同時に、機器の導入には高額な費用が掛かっていた。
「Zenmuse L1」ではコストが抑えられ、計測担当者に高い専門性がなくても現場の計測データがしっかりと取れる仕様となっている。
これが、L1が登場した際にユーザーを驚かせた理由の1つである。

だが、「動きながら計測する」ということが多少なりとも精度に影響をもたらす。ドローンならではの課題だ。
本製品もその点では影響が同じようにあるようだ。

しかしながら、「Zenmuse L1」が画期的な製品であることは間違いない。

④BLK360

④BLK360

約1kgというレーザースキャナとしては、革新的な重量でサクサクと測定を行う。
本現場では約5~6mピッチで器械を据え、計180点の器械点で計測を終了した。
また、BLK360のみ1人1台ずつの計2台で作業をし、1人約92点で撮影を行ったため計185点となる。

特に傾斜面や、足元の悪い場所では他の地上型レーザースキャナと比べると、非常に持ち運びがしやすく据えやすい印象であった。
また、三脚に立てたままの移動が可能であるということも器械点が多い現場や足元が不安定な現場では有利である。

しかしながら、データ容量の大きさには改善の余地があるようだ。
撮影は簡単なのだが、その後の合成作業の労力と器械点の多さは比例する。
合成作業をして感じるのは、無駄なオーバーラップが多いこと。
データの均等間引きを行ってもGLS、GTLに比べるとデータ容量が大きいことが分かる。


データ容量の大きさが少しネックではあるが、
水平を確認することなく、ボタン1つで質の高いデータが手に入ることは強みだろう。

特徴点の多い都市部で更に威力を発揮するのが「BLK360」だ。
本現場に当てはめて考えると、運動場のような特徴点のない広がった箇所の点群化に少し弱い印象であり、構造物には強い印象だ。

⑤RTC360

⑤RTC360

地上型レーザースキャナの中でサクサクと計測が進んだのが前述の「BLK360」と、この「RTC360」だ。
三脚に立てたままの移動が可能であるということも大きい。しかし、やはりBLK360に比べると器械点の移動の時に少し持ち運びがしにくい。
約1分50秒ほどで1器械点の計測を行う。待ち時間という点でのストレスは感じられない。
また、RTC360の特徴ともいえるVIS機能によって、手元のタブレット(Cyclone FIELD360)で測定したポイントの確認が可能だ。

当日はそれぞれの機種をチームに分かれて使用したため、他のチームと重ならないように変則的に動かざるを得ない場面があったが、
このVIS機能によって混乱することなく器械点を据えることができた。

しかしBLK360と同様に、ストレスを感じるとすれば合成作業の部分だろう。
計測開始ボタンさえ押せば点群データを作ることは出来るとはいえ、合成後のデータを想像しながら機器を設置していく必要がある。

BLK360と同様に、特徴点の多い都市部でパワーを発揮するのがRTC360だ。
本現場であれば、BLK360と同様に運動場のような特徴点のない広がった箇所の点群化に少し弱く、構造物の点群化には強い印象である。

⑥GTL-1003

⑥GTL-1003

GTL-1003はレーザースキャナ搭載型TS(トータルステーション)だ。
当日は器械点・後視点法で計測を行った。

<撮影の手間>という点では、前述のBLK360・RTC360がそれを圧倒的にカバーするが、
<合成の手間>では、このGTL-1003の方が最低限で済むと言っていいだろう。

「レーザースキャナではあるが、TSと同じ要領で計測できる」ということが本機種の大きな特徴の一つであり、事務所に帰って1から合成作業を行うということにはならない。
データ自体にも無駄なオーバーラップがなく、ストレスを感じることなく合成作業ができる。

レーザースキャナにおいては、計測時間や操作のシンプルさが製品のセールスポイントとして目立つことが多く、評価に繋がることが多いが、
合成の手間ということもポイントになってくることを忘れてはならない。

2人の作業人数は必要ではあるが、それをカバーする合成時間の短さが強みであることを再認識した。

⑦GLS-2000

⑦GLS-2000

GLS-2000の計測にはターゲットが必要であり、TSでの測距も必要であるが1度据えてしまうと広範囲の測定が可能である。
当日は後方交会法で計測を行った。

撮影フローは圧倒的にライカ社製レーザースキャナ「BLK360」「RTC360」の方が容易である。
しかし、「撮影+合成」という全体的な視点で見ると合成作業に負担がかからないのがGLS-2000だ。
GTLと同様に「レーザースキャナではあるが、TSと同じ要領で計測できる」いうことがGLSの強みである。

BLK360・RTC360で苦戦していた運動場部分だが、「TSと同じ要領で計測できる」という特徴を活かして円滑に合成まで出来ている。
運動場のような箇所であれば、そこまで緻密な点群データが不要な場合も多いだろう。その点でも、本現場において「GLS-2000」では丁度いい塩梅で3次元化が出来ている。

事務所に戻ってからの合成作業がほぼ不要といってもいいだろう。 

それぞれの機種のデータ比較。

それぞれの機種のデータを比較する。
福井コンピュータ「TRENDPOINT」で地表面を抽出する前後で比べてみよう。

地表面を抽出してみると、当たり前ではあるが地上型レーザースキャナの方が撮れている箇所が多いことが分かる。

短時間で広範囲のデータが取得できるドローンの計測データも見てみよう。
「Matrice 300 RTK/P1」「Phantom 4 RTK」では地表面が若干薄いのに対し、健闘しているのが「Matrice 300 RTK/L1」だ。
撮影・合成の労力を総合的に考えると、L1は高いパフォーマンスを見せている。

この現場に適していた地上型レーザースキャナとしてベテラン営業担当が挙げたのが「GLS-2000」だ。
本現場において撮らなければならないであろうデータの程度を想定したときに、「丁度いい」のだという。
現場によって結果が変わってくるため一概に「GLS-2000」や「L1」が1番良い機種だと紹介しているわけではない。
本現場では特徴点のない運動場の合成に苦労していたBLK360/RTC360も、構造物に囲まれた都心部に出てしまえば、一気にその力を発揮する。

——ドローンでは、飛行可能な区域に制限がある。
しかし、ドローンが得意とする広大な範囲で地上型レーザースキャナを担いで数百器械点にわたって計測することはかなりの労力が必要だ。
つまり「どこをどの程度測定するか」という目的を明確にすることが、適切な機種を選択できる近道だ。

それぞれの製品や技術が切磋琢磨されている。
その製品1つで成果品が創られることがもちろん前提ではあるが、さまざまな製品を組み合わせて使用しながら計測を行うことが当たり前になる時代もやってくるかもしれない。

それぞれの機種のデータ比較。

―「何」を「どのように」計測するのか。

本記事はどの機種が1番良いかということを証明することがポイントではない。
どの機種にも得意不得意な現場があり、目的や現場に合わせていくことが重要だということを伝えたいと考える。

こういったニッチな実証を随時行うからこそ、
神戸清光だけがユーザーに伝えられることがある。蓄積されるノウハウがある。

「自分が何を選ぶべきか」という問に対して、少しでも参考になれば幸いだ。

(株)神戸清光 広報チーム