建機遠隔操作システム「BuilderX(ビルダーエックス)」
実証協力&神戸清光展示会「KOBESEIKO EXPO2022」で展示!
――中国北京・兵庫県小野市の1,700km間の重機遠隔操作が可能であることを証明。

2022年の神戸清光において、大きなプロジェクトの1つが建機遠隔操作システム「BuilderX(ビルダーエックス)」の日本国内展開への協力だ。本製品は、中国のBuilderX社が提供する建機遠隔操作システムである。 中国国内では既に活用が進む同製品。特に鉱山業界で課題解消のツールにもなっているようだ。

2024年春頃に販売が目指される建機遠隔システム「BbuilderX」の日本国内展開に向けて、神戸清光が実証実験に協力した。また、2022年10月に実施された神戸清光展示会「KOBESEIKO EXPO2022」での展示も行う。 本記事では、その様子をみなさまにお伝えする。

「BuilderX」の紹介動画

神戸清光展示会「KOBESEIKO EXPO2022」での展示の様子。

▲神戸清光展示会「KOBESEIKO EXPO2022」での展示の様子。

What is 「BuilderX(ビルダーエックス)」?
それは、“後付け出来る”建機遠隔操作システム。

「BuilderX(ビルダーエックス)」は、“後付けが出来る”ということが大きな特長の1つの建機遠隔操作システムだ。 「既に所持している重機への取り付けが出来る」ということは、既に持っているハード(=資産)を活かせることを意味する。またインターネットを介して通信が行われ、油圧系統を直接システムが制御するためキャビン内に機材が増えることもない。
第三者カメラで俯瞰的に操作を行えるところにも作業者は安心感を得ることが出来るだろう。
マニュアル操作と遠隔操作は、専用のリモートコントローラーで切り替えが可能で非常時の安全性も考慮されている。

キャビン上にシステムを設置する。 雨天の中でも遠隔操作が出来ることも確認した。

▲キャビン上にシステムを設置する。
雨天の中でも遠隔操作が出来ることも確認した。

このリモートコントローラーで、遠隔操作のON/OFFが出来る。

▲このリモートコントローラーで、遠隔操作のON/OFFが出来る。

第三者カメラで、操作する重機を俯瞰的に捉えることも出来る。

▲第三者カメラで、操作する重機を俯瞰的に捉えることも出来る。

中国・北京ー兵庫県小野市の遠隔操作を実証。
その距離、約1,700㎞。

神戸清光小野トレーニングセンター(兵庫県小野市)で、中国北京からの遠隔操作の実証も行った。
当日はマニュアル操作と遠隔操作の比較も実施し、大きなタイムラグ※1や動作の問題が無いことを確認する。 また専用コースを作成し、タイムラップの比較を行ったが、遠隔操作時の方が有人走行よりも早いタイムを記録する場面もあった。つまり、マニュアル操作と遠隔操作の環境に左右されずに、双方間でオペレーターの技術が遜色なく発揮されたということだ。

※1 本製品における遠隔操作時のタイムラグは0.2秒以下です。

「BuilderX」の紹介動画はこちら。

大阪府大阪市-兵庫県小野市で操作確認を行ったときのzoom画面。 専用タブレット(左側)でも操作が可能であることを立証した。

▲大阪府大阪市-兵庫県小野市で操作確認を行ったときのzoom画面。
専用タブレット(左側)でも操作が可能であることを立証した。

神戸清光展示会「KOBESEIKO EXPO2022」では、大阪市から兵庫県小野市にある重機の遠隔操作を行った。

▲神戸清光展示会「KOBESEIKO EXPO2022」では、
大阪市から兵庫県小野市にある重機の遠隔操作を行った。

日本の抱える課題解消に繋がるか?

「BuilderX」を生み出したのは、中国にあるBuilderX社だ。中国国内の鉱山での人手不足や環境改善を解決するために開発されたといい、その安全性と効率の向上を実現する。同製品の日本での発売が検討されており、活用の道筋を確立するための実証実験へ神戸清光が協力させていただくこととなった。

――日本では国全体での人材不足が問題と言われているが、特に建設業界の人材不足も目立つ。
i-Constructio政策で業界の生産性向上も目指されているが、本製品がその解決に繋がることが期待出来そうだ。極端に言えば、本製品で在宅ワークの一環で重機を操作することが可能であるイメージだろうか。

新たな層の人材を業界内へ取り込めることが出来れば、新しい風が吹くことは間違いない。また、人材だけでなく「働き方」そのものに革新を起こすことにも繋がるだろう。

連日、神戸清光小野トレーニングセンターで操作確認やマシンガイダンスの取り付けが行われた。

▲連日、神戸清光小野トレーニングセンターで操作確認やマシンガイダンスの取り付けが行われた。

マシンガイダンスとの併用も実証。

神戸清光展示会「KOBESEIKO EXPO2022」ではPR用に、マシンガイダンス(MG)も併せて取り付けた。使用したMGはそれぞれ、ライカ社とトプコン社の製品だ。実際の展示時も、遠隔操作がタイムラグに繋がることもなく、リアルタイムに近い印象で動かすことをPRすることに成功した。

――マシンガイダンス技術も遠隔操作することが出来れば、更にその作業効率が向上する。将来のスタンダードになり得るかもしれない技術の組み合わせをリアリティをもって体感することが出来たことが印象的である。

※マシンコントロール(MC)技術は、ビルダーエックスのシステムが油圧関係を使用するため併用不可です。

展示会用にトプコン社製・ライカ社製のマシンガイダンスをそれぞれ取り付ける。「BuilderX」とマシンガイダンスの併用が可能であることも実証した。

▲展示会用にトプコン社製・ライカ社製のマシンガイダンスをそれぞれ取り付ける。
「BuilderX」とマシンガイダンスの併用が可能であることも実証した。

マシンガイダンス取り付け時のキャリブレーションの様子。

▲マシンガイダンス取り付け時のキャリブレーションの様子。

コストパフォーマンスと汎用性の高さが光る。

「BuilderX」の特長はハード面だけでない。コストパフォーマンスと汎用性の高さもしっかりと光る。重機の遠隔操作システムは以前から存在しているが、導入へは高いコストが掛かるということが従来であった。しかしながら本製品は、その従来のコストに比べるとぐっと抑えた設定となっている。

また所謂「高価な」製品が、汎用性の高さに比例するとも限らない。前述の通り、比較的導入しやすい価格が設定されている「BuilderX」だが、マシンガイダンス技術との併用が可能であることも実証しており、その自由度の高さを同時に示す。ニーズに合わせた展開が出来るということは、ユーザーそれぞれが置かれている様々な環境下での真の“生産性向上”を可能とするのだ。

製品ロゴの「拓疆者」とは“開拓者”という意味だという。

▲製品ロゴの「拓疆者」とは“開拓者”という意味だという。

神戸清光ベテラン営業担当者たち。 神戸清光展示会前日の「BuilderX」展示の最終チェックの時の様子。

▲神戸清光ベテラン営業担当者たち。
神戸清光展示会前日の「BuilderX」展示の最終チェックの時の様子。

「未来」が普及していく感じ。

今だから正直に言葉にすると、神戸清光営業担当者たちが「BuilderX(ビルダーエックス)」とマシンガイダンスの併用を提案した時には、「そんなこと出来るのだろうか?」と同じ社内の人間ながら、筆者は非常に懐疑的であった。しかし本当にそれを実現した時に、彼らの技術力を再認識すると共に、ユーザーが対応する「現場」を見据えているのだということを知る。

実機を通して製品を知っていただくことを神戸清光は重要視しているが、最初に無人の重機が動く様子を目の当たりにした時には、「これがいつか当たり前になるのか!」と強く未来を感じた。そして、それをみなさんにも是非体験してほしいと思う。

動画やカタログや口コミなど、様々な形で情報が取れる今だからこそ「実機を見る」ということで製品を知っていただきたい。みなさん自身で体感して、是非自分軸で捉えてほしいと感じる。
「BuilderX」は、そんな「実機を見る」ことで知っていただきたいと思える製品の1つになった。

(株)神戸清光 広報担当 松本葵