2023年11月3日公開!
株式会社白組様がVFXを制作する映画『ゴジラ-1.0』、
そこに登場する船「新生丸」のデータ計測を神戸清光が担当。
レーザースキャナの活用は映像制作会社にまで広がっている。

2022年5月。静岡県浜名湖の湖畔で神戸清光営業担当たちが、ある船体の点群化を行った。

この船体データは、株式会社白組様がVFXを担当する2023年11月3日公開の映画『ゴジラ-1.0』で使用されるCGモデルのベースとなる。 作品のなかでとても重要な要素となる船だ。

本記事では、その計測時の様子をみなさまにお伝えする。同作のエンドロールでは“神戸清光”の社名も記載されているので、是非劇場でご覧いただきたい。

<本記事の掲載は2024年7月31日(水)で終了致します。>


映画「ゴジラ-1.0」の公式ホームページはこちらから。

株式会社白組様(東京都調布市)は、映像制作を行う企業だ。
同社が担う“映像制作”は、CM・劇場用映画・ゲーム映像・テレビ番組などと多岐に渡り、 これまでの制作ラインナップでは私たちが見たことがある作品が並んでいて、非常にエキサイティングな気持ちになる。

そして今回、株式会社白組様がVFXを制作する映画『ゴジラ-1.0』(山崎 貴監督)に登場する船「新生丸」のCGベースデータの計測を神戸清光が担当させていただいた。


株式会社白組様のホームページはこちらから。

今回計測を行った「新生丸」。 時代設定に沿った船体の制作に大きく注力したそう。映画『ゴジラ-1.0』

▲今回計測を行った「新生丸」。
時代設定に沿った船体の制作に大きく注力したそう。

本現場で使用した製品ラインナップ。

本現場では、以下の製品を使用して計測を行った。
地上型レーザースキャナとハンディタイプのスキャナをメインとし、ドローンも併用することでより細部まで高品質なデータ作成を目指す。 また、GNSSとTSを使用することで座標変換も可能とする。

▲地上と上空の両方から計測することで、高品質なデータ作成を目指す。
(製品名をクリックすると、詳細ページにリンクします。)

レーザースキャナ3種類で、いざ挑まん!

本現場の特徴とも言えるのが、“限られた時間内で計測を完了させる必要がある”ということだ。
そして、その現場への対応の主軸となった製品が、地上型レーザースキャナである。

「RTC360」「BLK360 G1」「BLK2GO」の各製品のデータの一部もこの後掲載しているので、それぞれの違いを是非感じていただきたい。

各製品での計測完了までの所要時間は約3時間程で、地上型レーザースキャナの器械点数はそれぞれ29点ほど。 無事計測を完了した神戸清光営業担当たちは、かなりホッとした様子であった。

▲タイトな撮影の合間を縫って、3次元データ化を行った。 レーザースキャナの特長である計測時間の早さが光る。映画『ゴジラ-1.0』

▲タイトな撮影の合間を縫って、3次元データ化を行った。
レーザースキャナの特長である計測時間の早さが光る。


「点群が溢れる社会になる」が本当になりそう。


神戸清光代表取締役の走出(はしで)は、これからの未来を「点群が溢れる社会になる」と予想する。
点群が“普通”になるであろうこれからに私たちは対峙していかなくてはならないし、それに関するビジネスモデルがさらに展開されていくことになるだろう。

船体の搬入時。 圧巻の光景だった。映画『ゴジラ-1.0』

▲船体の搬入時。
圧巻の光景だった。

データを見てみよう①「RTC360」

ここからは、実際の計測データの一部を掲載する。
まずは、地上型レーザースキャナ「RTC360」だ。

RTC360は、最大200万点/秒でレーザーを照射する地上型レーザースキャナだ。
HDR画像取得を含めた設定でも、1器械点あたり2分未満での計測が可能だ。

また、VIS(ビス)という独自の技術が適用されていることも本製品を語る上では欠かせない。
VISでは独自のアルゴリズムによって、計測をしながら自己位置を把握することが出来る。
計測のし忘れなどのヒューマンエラーも本機能で防ぐことが可能だ。

本現場のように、計測チャンスが1度きりの現場が変動してしまう場合に非常に有効な機種だといえるだろう。 また、取得できる点群は非常に滑らかな印象であり、現場の再現率は高い。

実際の「RTC360」による計測時の様子 映画『ゴジラ-1.0』。

▲実際の「RTC360」による計測時の様子。

▲ライカ「RTC360」で計測したデータ①。 計28器械点で計測を行った。 (掲載データは、ノイズ及び不要なデータを編集済みです。)映画『ゴジラ-1.0』

▲「RTC360」で計測したデータ①。
計28器械点で計測を行った。
(掲載データは、ノイズ及び不要なデータを編集済みです。)

▲「RTC360」で計測したデータ②。 表面も滑らかに再現されている。映画『ゴジラ-1.0』

▲「RTC360」で計測したデータ②。
表面も滑らかに再現されている。

「RTC360」で計測したデータ③。 柵など細部の再現度も高い。映画『ゴジラ-1.0』

▲「RTC360」で計測したデータ③。
柵など細部の再現度も高い。

「RTC360」で計測したデータ④。  「新生丸」という文字もはっきりとデータ化されている。映画『ゴジラ-1.0』

▲「RTC360」で計測したデータ④。
「新生丸」という文字もはっきりとデータ化されている。

データを見てみよう②「BLK360 G1」

続いてのデータは、「BLK360 G1」だ。
「BLK360 G1」は、2018年に日本リリースが行われた地上型レーザースキャナだ。
2023年5月現在では、計測スピードの改良に加えてVIS機能も追加された「BLK360 G2」が新型としてラインナップされている。

特長は、約1㎏という軽量さと、計測時間の短さ。
持ち運びが簡単で「どんどんスキャニングする」というイメージの製品だ。

また、水平を気にしなくても良い点(逆さまで計測が可能)ということも大きな魅力の1つである。
この点も短時間でどんどん器械点を重ねられる要素だ。
本現場の船体のような複雑さや器械点の設置が難しい箇所にも柔軟に対応出来る。
計測のシンプルさと反比例するように、滑らかな点群が取得可能だ。

実際の計測時の様子。映画『ゴジラ-1.0』

▲実際の計測時の様子。

重量は1㎏と軽量なのに、計29器械点で船体を計測することが出来た。映画『ゴジラ-1.0』

▲重量は1㎏と軽量なのに、計29器械点で船体を計測することが出来た。

「BLK360 G1」で計測したデータ①。映画『ゴジラ-1.0』

▲「BLK360 G1」で計測したデータ①。

「BLK360 G1」で計測したデータ②。 色彩も表現度が高い印象だ。映画『ゴジラ-1.0』

▲「BLK360 G1」で計測したデータ②。
色彩も表現度が高い印象だ。

▲「BLK360 G1」で計測したデータ③。映画『ゴジラ-1.0』

▲「BLK360 G1」で計測したデータ③。

「BLK360 G1」で計測したデータ④。  木造の床面の滑らかさが伝わってくる。映画『ゴジラ-1.0』

▲「BLK360 G1」で計測したデータ④。
木造の床面の滑らかさが伝わってくる。

データを見てみよう③「BLK2GO」

最後は「BLK2GO」のデータも紹介する。
「BLK2GO」は、ハンディタイプのレーザースキャナだ。
“器械点”という考え方はなく、常に計測が行われているイメージである。

本製品の特長は、三脚の設置が必要ないこと。
対象物の周りを歩き回るだけでスキャニングが完了だ。

前述の2機種に比べると、点群が線状になるため、 単体で簡単に点群データを作成することはもちろん、
他製品との併用で成果物のクオリティを上げる活用方法も有効である。

本現場ではRTC360とBLK360の計測後にスキャンを行ったが、
時間に焦ることなく所定時間内に計測を完了させることが出来た。

「BLK2GO」での計測時。映画『ゴジラ-1.0』

▲「BLK2GO」での計測時。

「BLK2GO」で計測したデータ①。 前述の2機種に比べると、点群が線状である印象を受ける。映画『ゴジラ-1.0』

▲「BLK2GO」で計測したデータ①。
前述の2機種に比べると、点群が線状である印象を受ける。

「BLK2GO」で計測したデータ②。 ハンディタイプのスキャナではあるが、高さのある船体の帆柱まで再現されている。映画『ゴジラ-1.0』

▲「BLK2GO」で計測したデータ②。
ハンディタイプのスキャナではあるが、高さのある船体の帆柱まで再現されている。

「BLK2GO」で計測したデータ③。映画『ゴジラ-1.0』

▲「BLK2GO」で計測したデータ③。

「BLK2GO」で計測したデータ④。  「RTC360」「BLK360 G1」での計測後に、「BLK2GO」でスキャニングを行った。映画『ゴジラ-1.0』

▲「BLK2GO」で計測したデータ④。
「RTC360」「BLK360 G1」での計測後に、「BLK2GO」でスキャニングを行った。

測量機器の販売商社の神戸清光が、測量以外のフィールドに飛び出した!

私たち神戸清光が感じていることは、レーザースキャナ技術の汎用性の高さだ。
普段、私たちは“測量”をフィールドとして日々の日常を行っている。

映画に登場するCGのベースとなるデータ計測は、神戸清光営業担当たちも新鮮であったようだ。 

ドローンで上空から写真データも撮影する。映画『ゴジラ-1.0』

▲ドローンで上空から写真データも撮影する。

計測は早朝5時から始まった。映画『ゴジラ-1.0』

▲計測は早朝5時から始まった。

朝日の中での計測は、非常に美しかった。映画『ゴジラ-1.0』

▲朝日の中での計測は、非常に美しかった。

DJI「Phantom 4 RTK」のフライト前。映画『ゴジラ-1.0』

▲DJI「Phantom 4 RTK」のフライト前。

株式会社神戸清光 代表取締役の走出は、 「点群が溢れる社会になる」と未来を予想する。映画『ゴジラ-1.0』

▲株式会社神戸清光 代表取締役の走出は、
「点群が溢れる社会になる」と未来を予想する。

GNSSで座標も計測。  複数の計測データを1つの成果物として合わせる。映画『ゴジラ-1.0』

▲GNSSで座標も計測。
複数の計測データを1つの成果物として合わせる。

現場到着初日は、DJI「Mavic Pro」での撮影も行った。映画『ゴジラ-1.0』

▲現場到着初日は、DJI「Mavic Pro」での撮影も行った。

映画で使用されるCGモデルは、こんなに繊細に作りこまれていくのかと実感した。映画『ゴジラ-1.0』

▲映画で使用されるCGモデルは、こんなに繊細に作りこまれていくのかと実感した。

計測したデータをそのままノートPCで確認する。映画『ゴジラ-1.0』

▲計測したデータをそのままノートPCで確認する。

感じたのは、“3次元”の汎用性の高さ。
そして、未来がこれから変わるだろうという予感。

本取材では、改めて“3次元”の汎用性の高さを強く感じることが出来た。
「CG会社」という、測量業界とはまた異なる業種の方たちとの関りは“3次元”がもたらしたものだろう。

――「現在の小学生の65%が、現時点で存在しない職種に就くことになる(原文:Fully 65 percent of today’s grade-school kids may end up doing work that hasn’t been invented yet.)」という言葉が、筆者は好きだ。2011年にアメリカの大学院教授のキャシー・デビッドソンさんがインタビューや自身の書籍で表現したこの未来。

今から10年以上前の発言のため予測される数値は変動しているだろうが、どちらかというとこの言葉に大人たちはしっくりきているのではないだろうか。

私にとっては、映画に使われるCGデータの土台計測の本現場は非常にスペシャルなことだった。
しかし、それが“普通”になるときが高確率でやってくるのだろう。

3次元をビジネスモデルに組み込むなら、早ければ早いほど良い。
「3次元、3次元というけれど、日本は小さいからすぐにあらゆる場所の3次元化が終わってしまいそう」と筆者は勝手に思っていたが、実は少し違うようだ。
普段よく見る図法の世界地図に慣れてしまうと、実際の面積より小さく感じてしまうそう。

つまり、これからも3次元化は進むだろうし、それに関する今は想像できない職業が生まれてくるのではないだろうか。

そして、そこには3次元に抵抗のない私たちが生きているのだろう。

――何かお困りのことがあれば私たち神戸清光までお知らせください。 一緒に解決しましょう。

(株)神戸清光 広報チーム

記事監修:(株)神戸清光 代表取締役社長 走出高充





<本記事の掲載は2024年7月31日(水)で終了致します。>

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