2025年6月6日に公開された映画「国宝」。
カンヌ国際映画祭では上映後6分間にも及ぶスタンディングオーベーションが続くなど、前評判も高かった話題の今作。
出演者は「期待値の高い作品になっている気がするが、確実に期待を超えている作品になっていると思う」とコメント。
実写邦画としては、22年ぶりに興行収入が100億円を突破する歴史的快挙を達成。
歌舞伎の世界を舞台にしている映画で、撮影、撮影後の編集・CG製作にも監督の過去作と比べると2倍以上の期間をかけていて、かなり本格的な撮影。
株式会社Spade&Co.様がVFX(視覚効果)を製作する映画『国宝』にて幾度登場し、クライマックスのシーンにもなった
舞台・客席セット(日乃本座)の3次元スキャン・点群データ取得を神戸清光が担当させていただきました。
本記事では、その計測時の様子、
そして、点群を利用した箇所の 実際の本編データを記していきます。
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(C)吉田修一/朝日新聞出版 (C)2025 映画「国宝」製作委員会
株式会社Spade&Co.(スペードアンドカンパニー)様は映画を中心にドラマやCM・PVなどのハイエンドなVFX(視覚効果)製作を提供されている企業。
主な作品には、邦画最高クラスの壮大なスケール感を実現した「キングダム」シリーズ、「ゴールデンカムイ」シリーズ。
また第74回カンヌ国際映画祭で脚本賞を含む3部門を受賞・第94回アカデミー賞では作品賞を含む4部門にノミネートされ、
国際長編映画賞を受賞した「ドライブ・マイ・カー」など、日本を代表する作品が並んでいます。
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使用機材には高精度かつ、時間的、作業効率的なスキャンを行える機材の選定、
その後の制作作業をスムーズにご利用いただけるデータの提供が必要となります。
東映京都撮影所におけるセットの計測は、セットエクステンション
(既存のセットに追加して、存在しない部分をCGで追加をすること)に使用されています。
今回のセットは1階部分までしかないため、2階・3階をCGで追加。
劇場での計測は、
CGの観客を配置するため、座席の位置の割り出しの為にスキャンデータを使用されたそうです。
2023年11月に公開された映画「ゴジラ-1.0」にてデータ計測を担当させていただいた際、
弊社代表取締役の走出は「今後は点群があふれる社会になる」と
予想。
建設業界で築き上げられてきた技術は、3Dスキャナーやドローン、フォトグラメトリー(立体的な3DCGモデルを作成する手法)などによって、建設業界や映像業界だけに留まらない様々な業界での活躍・促進の期待が寄せられていて、点群があふれる社会へ着実に歩を進めています。
ここからは、実際の計測データの一部を掲載していきます。
まずは、3Dレーザースキャナー「NavVis VLX3」。
特徴は何といっても
”装着して歩きながら周囲の点群データを取得する”という、ウェアラブル式の計測方法。
2台のLiDARセンサーで水平・垂直方向の3次元点群データを高密度に取得。
頭部に搭載された前後左右4台の魚眼カメラで、高解像度なパノラマ画像を取得できます。
また、計測状況が一目でわかるプレビュー画面がついているため、計測の漏れを防ぐことができます。
本現場ように、計測できる機会が1度きりの現場では非常に有効なシステムです。
「NavVis VLX3」を装着したイメージ。
続いて使用したのは、地上型レーザースキャナー「BLK360 G2」。
わずか850gと軽量でコンパクトなボディ。
1機械点あたり約20秒でデータを取得できる高速なスキャン、それでいて球面画像を含む
フルスキャンもできる1,300万画素の高画質なカメラ。
搭載されたLiDARセンサーは、毎秒680,000点の点群データをキャプチャ。
ボタン1つで操作できるシンプルさ。
高所撮影用三脚「Bi Rod 6C-7500」。
フルカーボンを採用し、最高クラスの軽さと安定性が実現。
今回はBLK360を取り付けて、セットの高所を撮影しました。
全長の様子。
BiRod 6C-7500にBLK360G2を取り付けて、
実際に計測している様子。
1. 計測したパノラマ画像。
1.点群データのみ。
BLKは35機械点、NavVisは108パノラマ撮影点での計測を行いました。
2.計測したパノラマ画像。
たくさんのシーンで活躍した花道から見た桟敷席。
2.点群データのみ。
提灯の柄までくっきり区別ができます。
3.計測したパノラマ画像。
3.点群データのみ。
2階席・3階席をCGで追加します。
4.計測したパノラマ画像。
鳥屋口の揚幕です。
4.点群データのみ。
5.点群データのみ。
舞台上部の装飾。なめらかな曲線も細かくデータ化されています。
6.点群データのみ。
装飾の拡大図。色彩の表現度も高いです。
総点群数:
380,421,137
(3億8千万点)
BLK360G2:
機械点35
計測時間35分
(総時間50分)
NavVis VLX3:
パノラマ撮影点108
( 計測時間20分)
上記の点群データを活用し、株式会社Spade&Co.様が作成された本編内の
作業前/後の比較画像を掲載します。
1.作業前の様子。
日乃本座セットでは、画像左部、上部の客席を追加します。
1.作業後の様子。
比較しなければ分からないほどの自然な仕上がりになっています。
2.作業前の様子。
2.作業後の様子。
2階・3階が追加され、更に迫力が増します。
3.作業前の様子。
3.作業後の様子。
映像になっても尚増すリアリティさです。
4.作業前の様子。
撮影に使用される照明やマイクがあります。
4.作業後の様子。
撮影道具の代わりに、客席が追加されています。卓越した仕上がりです。
今作では、セットエクステンション(部分的に作られたセットをCGで拡張する作業)と、
劇場内の観客をCGで追加することが主なVFXの役割でした。
セットエクステンションでは、少しでも位置がずれると拡張部分が不自然に見えてしまいます。
また観客を配置する際も、座るべきでない場所に人が現れてしまうと違和感につながります。
そのため、精度の高い点群データが欠かせませんでした。
今回は非常に限られた時間の中で、広大な劇場およびセットをスキャンしていただきましたが、
驚くほど細かく、客席一つひとつまで正確に記録されていました。
そのおかげで、観客の追加やセット拡張も自然に溶け込み、
観る人にCGと気づかせないリアルなVFX表現を実現することができました。
「観ている人に作りこんだものだとは思わせないように、監督や俳優部をはじめ各セクションが当たり前のことですが
”本物らしく=オーセンティックに”見せることにこだわっている。」
本映画の美術監督がインタビューでも上記と述べているように、実際に映画をご覧になられた方でも どの場面がセットによる撮影なのか、
どの部分がVFXによって追加されたのか、
全く分からない 違和感のない仕上がりになっていたと思います。
計測を行ったのは1年前ですが、この1年間で注目される機械も続々と増えていき
想像を超えた技術の発展の連続です。
弊社では、最新の機材をメーカー視点ではなく、ユーザー様視点で機材を見出し、検証を行い、最適なご提案をしております。より良いものを追い求め常に情報を入手すること、それをユーザー様へお届けすることを使命と考え、これからも活動してまいります。
是非とも弊社までお問い合わせください!
株式会社神戸清光 映像事業部 濱田・山元
記事監修:株式会社神戸清光 代表取締役社長 走出高充
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