近年、急速に知名度を高めているXGRIDS社。ラインナップの中でも注目を集めているのが、ハンディスキャナーのLixel K2とLixel L2Proです。特にLixel L2Proは、性能の異なる複数のモデルを展開しており、「結局、何が違うのか」「実際にどんな点群データが取得できるのか」と気になっている方も多いのではないでしょうか。
今回のレポートでは、大規模スキャンを実施した様子とあわせて、この2機種(Lixel K2・Lixel L2Pro) による点群比較をお届けします。今回の計測では他の機種も使用していますが、中でも特にお問い合わせの多いこの2機種に絞ってご紹介します。
本計測は、大成建設株式会社様、株式会社デバイスワークス様ご協力のもと、サンライズ淡路にて2026年5月28日および5月29日の二日間にわたり実施しました。
一日目
計測に使用するGCPの座標取得は、トータルステーションおよびGNSS受信機を用いて実施しました。
まずはGCPの配置から
わかりやすいように目印も設置していきます
可能な箇所では杭を用いてGCPを設置しました
GNSS受信機で座標を取得中…
トータルステーションで座標を取得している様子
計26個ものGCP設置に、弊社営業も疲労を隠せません
二日目
絶好のスキャン日和です
計測前の入念な打ち合わせの様子
精度検証に使用するターゲットも配置していきます
XGRIDS三銃士も準備万端です
いざ計測!
順調にスキャン進行中…
RTC360によるスキャンも、トラブルなく順調に進行しています
ドローン着陸、緊張の瞬間です…
画になるほどの快晴、熱中症対策は欠かせません
最後にGNSS受信機で座標を再度取得、19時ごろにすべての工程を終えることができました
ここからは、取得した点群データを用いた比較についてご紹介します。
取得点群データ概要
Lixel K2およびLixel L2Proで取得した点群データを対象に、点群の比較を行いました。なお、Lixel L2Proについては有効点群距離・点群取得速度の異なる3モデルを使用しており、モデルごとの違いにも触れながら検証結果を整理します。
今回取得した複数エリアの点群データのうち、トータルステーションによるGCP座標取得を実施したエリアを対象として、点群の比較を行いました。
Lixel K2
Lixel L2Pro 120-16
Lixel L2Pro 120-32
Lixel L2Pro 300-32
実際の現場に存在する形状を用いて、各機器で取得した点群データを比較しました。今回対象としたのは、T字状につながった区画線の交点部、そして区画線と道路面の境界部分です。
対象箇所の座標は、トータルステーションを用いて高精度に取得しました。この座標を基準として、各計測機器で取得した点群上での位置関係を比較しています。
RTC700で計測したデータ
また、比較対象として後日取得した地上型レーザースキャナ(RTC700)の点群データも使用しました。
RTC700
区画線の輪郭や道路面との境界は明確に表現されており、細部まで迷いなく確認できる結果でした。計測には手間と時間がかかるものの、その分だけ得られるデータの安定感は、やはり基準として頼れるものです。
Lixel K2
LiDARの構造上、地面付近の点群は取得しにくい傾向があり、区画線をそのままトレースして図化するような精緻な作業には難しい面があります。
ただし、区画線の交点や道路との境界部分は問題なく確認でき、トータルステーションで取得した座標との位置ずれも大きくなく、現況測量等であれば十分な点群品質が得られています。
Lixel L2Pro 120-16
Lixel L2Pro 120-32
Lixel L2Pro 300-32
Lixel L2Proでは、いずれのモデルにおいても、トータルステーションで取得した座標との位置ずれは小さく、良好な精度が確認できました。LiDARが回転しながら点群を取得する方式のため、計測者が全方位を意識しなくても自然に周囲をカバーでき、区画線の交点や道路境界部分もしっかりと捉えられています。加えて、モデルごとの点群密度の違いによって表現力にも差が見られ、高密度のモデルほど区画線の輪郭や道路境界部分がより鮮明に表現され、交点部分の形状も自然に確認することができました。
区画線付近での点群比較
密度は、おおむね点群取得速度というスペック上の数値に比例する結果となりました。
Lixel K2はそれなりの密度を確保している一方、Lixel L2 Proは点群取得速度の高さがそのまま1㎡あたりの点数の多さに直結しており、区画線周辺の輪郭や境界がより緻密に表現されていることが確認できます。
石積みの壁における断面比較
点群の違いは、細かな形状を見るほどはっきりと表れます。
今回は石積みの壁を対象に断面を抽出し、各機器による形状表現の違いを比較しました。
石同士の境界、壁面の凹凸、端部のエッジ、こうした細かな変化が現れやすい部分に注目しています。
RTC700
石一つひとつの輪郭、目地の細さまで、迷いなく追える解像度でした。
手間をかけた分だけ応えてくれる、質感まで伝わってくるような密度感があります。
Lixel K2
壁全体の起伏など、大きな凹凸はしっかりと捉えられています。石一つひとつの大きさや積まれ方の違いも含めて、壁面全体の雰囲気は自然にきれいに再現されており、全体像をつかむという点では十分な結果となりました。断面として抽出した際にも、壁の輪郭やエッジは崩れることなくきれいに残っており、ノイズも少なく、点群の厚みも薄く(1cm以下)安定した形状として確認できています。
一方で、石の隙間など、奥まって凹んでいる細かな部分については、情報が拾いきれない箇所も見られました。前述した地面付近と同様、LiDARの構造上、死角になりやすい部分については、計測時にスキャンするルートや角度をしっかり計画しておく必要があります。
Lixel L2Pro 120-16
Lixel L2Pro 120-32
Lixel L2Pro 300-32
石と石の境目、そのわずかな段差までも自然に再現されています。
表面の凹凸も違和感なく表現され、端部のエッジも滑らかにつながって見えます。
密度が高いモデルほど、こうした凹凸の情報がより見やすく表現される傾向も確認できました。
また、今回は特に意識していなかった側溝部分についても、モデルによっては点群として捉えられていました。狙った対象以外の部分まで拾えるケースがある点も、Lixel L2Proの点群取得性能の高さを裏付ける結果と言えます。
拡大して見比べると、凹んだ部分の情報量やLixel L2 Pro各モデルでの側溝の写り込みなど、機種ごとの違いがより分かりやすく確認できます。
森の中の滝における点群比較
ここまでは、GCPエリア内のデータをもとに比較を行ってきました。
最後にご紹介するのは、複数エリアの点群データを合成したデータを用いて、実際にどのようなデータが取得できるのか、その一例です。
Lixel K2
Lixel L2 Pro 300-32(他モデルも同様の範囲を計測)
対象としたのは、GCPエリア外にある、森の中の人工の滝です。水は流れておらず、両サイドには大小さまざまな岩で構成された壁があります。
Lixel K2
木々や岩に囲まれた足場の限られる環境でも、約1.2kgという軽さもあって無理なく持ち出して計測できました。
岩の配置や壁全体の広がりは問題なく捉えられており、壁面を構成する石の色の違いまで発色よく表現され、対象全体の雰囲気を伝えるには十分なデータとなっています。
Lixel L2Pro 120-16
Lixel L2Pro 120-32
Lixel L2Pro 300-32
密度が上がるほど、対象物の「そこにある」という存在感が増していきます。
岩の表面を覆う苔の質感、壁を構成する石や両サイドの岩それぞれの境目、色合いの違い。Lixel L2Proの点群は、そうした情報を余さず拾い上げ、立体感のあるデータとして仕上がっていました。
ハンディスキャナーの点群クオリティは、年々着実に向上しています。それでも、精度という一点においては、地上型レーザースキャナに軍配が上がるのが実情です。
ただし、実際の業務すべてが、その精度を必要としているわけではありません。
また地上型レーザースキャナは機器設置点から見えている部分しか計測できないため、死角をなくすためにはどうしても機械点を増やす必要があるのと三脚に載せることもあり機械点真下に大きな抜けが目立つことになります。
ハンディスキャナーは移動しながら計測が出来ることでその死角と機械点真下の抜けを極力減らすことが出来るため、エリア全体を短時間で効率よくデータ取得するには大変優れた製品となっています。
求められる精度がそこまで高くない工程をハンディスキャナーに置き換えることが出来れば、計測時間や人員といったコストを大きく省力化が見込めます。
今回比較したLixel K2とLixel L2Proも、それぞれ異なる形でその可能性を示してくれました。コストパフォーマンスに優れたLixel K2、そして点群密度の高さも裏付けとなり、地上型レーザースキャナに迫るクオリティを見せたLixel L2Pro。
結果は、搭載しているライダーセンサーの特性に応じた非常に分かり易い結果になっているため、必要としている成果に対応した機種選定をして頂けるのでないでしょうか。
今回の検証では、機種ごと、そしてモデルごとの点群の見え方や表現力の違いを、できるだけ具体的にご紹介してきました。導入を検討される際の判断材料として、少しでもお役に立てば幸いです。
弊社では、こうした計測機器の精度検証や比較を数多く行っています。実際に機種を触って確かめたい、デモデータを取得して検討したい、といったご要望があれば、お気軽にご相談ください。
株式会社神戸清光: 走出 岡本 大町 藤井 中村 松本 山本 走出(航)
計測協力:大成建設株式会社のみなさま、株式会社デバイスワークスのみなさま、ライカジオシステムズ株式会社のみなさま